2026/07/27 17:34

「水道水って、なんだか独特の匂いがして美味しくない……」
そんな風に感じたことはありませんか?
以前の記事で、日本の水道水には安全を守るために「塩素」が含まれているというお話をしました。
しかし、水道水が美味しくないと感じる原因は、実は塩素だけではありません。
水道水の風味を落とす原因は、大きく分けて以下の3つの要素が関係しています。
塩素由来のカルキ臭:プールのようなどこかツンとする匂い
カビ臭:夏場などに感じやすい土くさい匂い
金気(サビ):古い水道管などから出る金属のえぐみ
今回は、これらの原因と「お家で簡単に美味しい水を作る裏ワザ」について、少し意外な科学の事実を交えながらご紹介いたします!
コップの水に指を入れると塩素が減る!?

唐突ですが、コップに注いだ水道水に指先を数秒間入れてかき混ぜると、水の中の塩素が減ることをご存じですか?
「手軽に塩素が減るなら良いことだ」と思われるかもしれませんが、実はこれ、決して水が綺麗になったわけではないのです。
浄水場で入れられた殺菌作用のある塩素(遊離残留塩素)は、人間の汗や皮脂などの有機物と非常に反応しやすいという特徴を持っています。そのため、水に指を入れると、塩素はそれらの汚れを分解しようと反応して消費され、無害な成分(塩化イオンなど)へと変わります。
しかし、すべての塩素が綺麗に消費されて消え去るわけではありません。
指先の汗に含まれるアンモニアなどの成分と反応した塩素の一部は、「結合残留塩素」という別の物質に変化します。
私たちが普段「水道水くさい」「プールの匂いがする」と感じる、あの鼻につく不快な匂い。その主な正体とされているのが、結合残留塩素の一種である「トリクロラミン」などです。これらはごくわずかな量でも、強い不快な匂いとして感じられます。
塩素に反応して赤く染まる試薬(DPD試薬)を用いた実験では、溶液に指を入れると色が透明に変わるため、その結論として「塩素が除去できて水が綺麗になった」とされている場合があります。
しかし実際には、DPD試薬に反応するのは遊離残留塩素で、結合残留塩素には反応しません。
指の汚れによって遊離残留塩素が消費され、さらにニオイのもとになる結合残留塩素へと変化したことで、試薬が反応しなくなっただけなのです。
つまり、指を入れて試薬が透明になったところで、実は水の中から不快なニオイ成分が消えたわけではないのです。
なぜ最初から水道水は匂うのか?
ここで一つの疑問が浮かびます。「コップに指なんて入れていないのに、蛇口から出た時点ですでに水が臭いのはなぜ?」と。
その答えは、水道水の元となる「原水(ダムや川の水)」にあります。
川やダムには、落ち葉や微小な藻などの「有機物」のほか、アンモニア態窒素などの成分が最初から含まれています。
それをきれいにするために浄水場で処理を行い、最後に消毒のための塩素を入れますが、水中にわずかに残ったアンモニア態窒素などと塩素が反応すると、トリクロラミンなどの結合残留塩素が生まれることがあります。
つまり、浄水場の時点で、あの不快な匂いの原因となる結合残留塩素が生じることがあり、それがご自宅まで運ばれてくるため、水道管が新しくても匂いを感じる場合があるのです。
※ちなみに、一部の地域では「高度浄水処理」という技術が導入されています。オゾン処理や生物活性炭処理によって、匂いの原因となる有機物やカビ臭物質、アンモニア態窒素などを、より高度に取り除いてから最後に塩素を入れる仕組みです。
そのため、カルキ臭やカビ臭を大幅に抑えることができます。しかし、大がかりな設備が必要になるため、全国すべての浄水場で行われているわけではないのが現状です。
今すぐできる美味しい水の作り方と注意点
水道水の匂いを取り除くには、ご自宅にあるもので簡単にできる裏ワザがあります。
1. レモン汁(ビタミンC)を入れる
コップの水にレモン汁を数滴垂らすだけで、ビタミンCが塩素とすぐに化学反応を起こします。
指を入れた時のように汗や皮脂との反応を利用するのではなく、ビタミンCが残留塩素を還元することで、カルキ臭を和らげてくれるのです。即効性があり、手軽に試せる方法です。
2. 5~10分ほど「煮沸」する
やかんのフタを半開きにしたまま、沸騰後も5~10分ほどグツグツと加熱すると、塩素やクロラミン、カビ臭の原因となる成分を減らし、匂いを和らげることができます。麦茶を作るときなどに最適です。
ただし、レモン汁や煮沸によって残留塩素を減らした水は、塩素による消毒効果も弱くなっています。雑菌が繁殖しやすくなるため、長時間常温で保存せず、なるべく早めに使い切りましょう。
これらの方法を使えば、水道水の匂いが手軽に取り除けます。
ただし、これにも注意点があります。
【弱点】「サビ」だけは消せない
ビタミンCも煮沸も非常に有効ですが、一つだけ落とし穴があります。
それは、3大要素の最後の一つである「金気(サビ)」は、どれだけ煮沸しても熱で飛ばすことができないということです。
鉄などの金属成分やサビの粒子は水の中に残ってしまうため、えぐみや渋みを煮沸だけで取り除くことはできません。
【結論】まとめて対策できる便利なアイテム
「塩素・カビ臭・金気(サビ)」
こうした水道水の味や匂いに影響する要素を、毎回レモン汁を入れたり、お湯を沸かしたりせず、手軽にまとめて対策するために便利なのが「浄水器」です。
浄水器の中に入っている活性炭は、塩素やカビの匂いの原因となる物質を吸着します。
さらに、高度なろ過性能(中空糸膜などのろ過膜)を備えた製品であれば、煮沸では消せない濁りや、水中に浮遊している細かなサビの粒子を、物理的な極細の孔でしっかりとろ過してくれます。
※ただし、除去できる物質は浄水器によって異なります。すべての浄水器が、あらゆる匂いや金属成分を取り除けるわけではありません。浄水器を選ぶ際には、その商品に記載されている「除去対象物質」や「浄水能力」を確認することが大切です。
ちなみに、当店が取り扱っている「サイエンス・ウォーターセキュリティ」は、活性炭フィルターとセラミックカートリッジを備えた、家中まるごと浄活水化するシステムです。
活性炭フィルター表面の不織布によって、30ミクロン以上のサビなどの粒子状の異物をろ過。さらに、活性炭によって遊離残留塩素や異臭味の原因となる物質を取り除き、セラミックカートリッジによって酸化還元電位を低下させた浄活水を、家中の蛇口へ供給します。
毎日の飲み水や、お料理、美味しいコーヒーを淹れるために。ぜひ、浄水器を活用して「より美味しく感じられるお水」を味わってみてくださいね!
【おまけ】水の中の化学変化
本文で解説した「塩素の働き」や「匂いの正体」を、最後に化学式で見てみましょう。
浄水場で使われる次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)は、水の中で次亜塩素酸(HClO)を生み出します。

この次亜塩素酸(HClO)が、強い殺菌力を持つ水のボディーガードです。
しかし、汗などに含まれるアンモニアと反応すると、結合残留塩素の一種であるモノクロラミンが生まれます。

さらに反応が進むと、あのプールのような鼻につく匂いの原因となるトリクロラミン(NH2Cl)が生じることがあります。
一方、レモン汁に含まれるビタミンCを加えると、次亜塩素酸は還元され、匂いの少ない塩化物イオンへと変化します。

魔法のように見える裏ワザも、実は水の中で起こる化学反応の結果なのです。
知れば知るほど、水の世界は奥深いですね!